「まぁ…真麻の場合はラブレターみたいなもんだもんね」
そんないつまでも書く気配を見せない私を見て、向かい側へと移動した絢子がぽつりと呟く。
「やっぱ…そうだよね」
その言葉に私はぎこちなく頷いた。
私が手紙を上手く書けないもう一つの大きな理由は、やっぱりそこだと思う。
どんなところがすきです、というのは私のマイナスな思考が邪魔して書けない。
でもこの好きだという気持ちを詰め込めて何かを書こうとしているのだ。
この胸の奥で燻っている感情を。
それはもはや気持ち的にはファンレターではなくラブレターである。
その思いが余計に私を緊張させ、何を書いたらいいのかわからなくさせていた。
だってラブレターなんて、書いたことがないのだから。


