「…やっぱり、難しいなぁ…」
ペンを握りながらやっぱりそう思う。
相変わらず便箋は真っ白なままだ。
「本来はそんなに難しくないんだけどね」
そういうものなの?と眉を寄せて尋ねれば、絢子はそういうもんじゃない?と口を尖らせて適当な答えを返してきた。
聞けば絢子も何年か前にファンレターを書いたことがあるらしい。
しかも相手はあの悠里くんだそうだ。
やっぱりあの子のファンだったんじゃん、絢子さん。
しかし何故みんなそんなに手紙を書けるのだろう。
書けない私のほうがおかしいのだろうか。
そう思いながらペンを握ったり置いたり。
何度も首をかしげてみるが、やっぱりここに書ける言葉が見つからない。


