ブラックレター~高嶺の花に恋します~





私の言葉では到底あの瞬間の衝撃を伝えられるとは思わない。

実際、絢子にも伝わらなかったし。


そもそも好きになったきっかけだって直感だった。


その姿か目に入った瞬間、この人がいいと。

この人じゃなくちゃ嫌だと、そう思ってしまった。


理屈なんかじゃない。


キラキラと何かが胸に降り注ぐような、今までに感じたことのない感覚だったんだ。

なんで、なんて理由そこには存在しなかった。




(…好きなんだよね、泣きたくなるくらい)




彼は、色をくれた人。

この人の傍なら世界が鮮やかになるような気がした。


そして同時に絶望を与えてくれた人。

だってこの人に愛される人が羨ましいと思わせられたから。