ブラックレター~高嶺の花に恋します~





ただこの人が好きなのだと私の直感と本能がそう言っている。

それは理性では制御できない。

体の奥から湧き出てくるような感情。


綺麗な言葉だけじゃ片付けられない想い。




「…じゃあ…あれは?好きになった理由!」


「好きになった、理由…?」




これならどうだ!とビシッと指を立ててそう言う絢子に、あの瞬間のことを思い出す。

一週間前のあの瞬間のことを。


テレビを見ていたら突然入ってきたのだ。

あの人が私の体のなかに。

あの人という独特の色彩を持って。




「色が入ってきました、って書けばいいの?」




そういった瞬間、目の前の絢子が頭を抱えた。




「ごめん。あんたの場合、伝わらないと思う」


「うん。私もそう思う」