「絢子…いきなり開けないで。ノックしてって言ってるじゃん」
「あははー!ごめんごめん!」
じとりと睨んでそう言ってみるも、ごめんごめんと軽く言いながら笑うだけの絢子。
絶対反省していない。
この女はそういう女である。
今日はいつもに増してお洒落な装いの彼女。
多分合コン帰りだと思う。
何故か絢子は美人のくせに彼氏が出来ない。
本人いわく"釣り合う相手がいない!"とのことだが、私は彼女の性格のせいだと思っている。絶対言わないけど。
「で?どっか行くの?めかしこんじゃって」
「いや…行かないけど…」
私がそんなことを考えているなど露知らず、着替え終わった私を上から下まで眺めながらそう言う絢子に目を逸らしながら答える私。
気合いを入れていただけだとは言えない。
そんな私に"まぁいいや"と笑った絢子は、スタスタとまるで自分の部屋を歩くように私のもとまでやって来た。
そしてひょいと机の上に広げてある便箋を覗き込む。


