ブラックレター~高嶺の花に恋します~





どうしてあの子はいつもこう突然なんだろうか。


しかし、こうなったらもう用意するしかない。

といってもそれほど時間もない。

映画の時間は決まっているし、あまり彼女を待たせるわけにもいかないから。




(…どうしよう…)




そう頭を抱え大きな溜め息を一つ吐いてから、私はゆっくりと重たい腰を上げる。

そしてクローゼットの扉を開けた。


中には私の大切な大切な宝物たち。

キラキラした魔法の空間。


そして悩むのだ。

彼の前(スクリーン越しだけど)に出ていくのには一体どの子を着たらいいのかを。


あまり派手なものは着ていきたくなかった。

まぁもともとピンク系のお洋服は少ないけど。

なんとなく、彼のイメージではないから。


かといってロリータ服以外で外に出る気はさらさらない。