ブラックレター~高嶺の花に恋します~





(名前だけでもドキドキするとか…聞いてないっ!)




ドキドキする心臓を抑えようと必死な私。

だけどこの胸の高鳴りは止まることを知らないみたいで。

だんだんだんだん大きくなっていく。

なんだか少し怖くなるくらいに。


そんな私に気付いているのかいないのか。絢子はよりいっそう楽しげに声を上げてこう言った。




「そう!だから、今から見に行こう!」


「……は?」




疑問系ではなく決定されたものとしてそう言う絢子に、なに言ってんだこいつ、バカじゃないの?と思った私は間違っていないと思う。


そしてそれはあからさまに顔に出ていたと思う。

だってこんなに眉間が痛い。


だがそんなこと気にしないのが絢子という女だ。


そして彼女の瞳は決して嘘を吐いているそれじゃない。