ブラックレター~高嶺の花に恋します~





「こ・れ。今やってるこの映画に出てるの。相沢さん」


「…へ?」




絢子が指差したのは、数日前から公開されているとある映画の広告。

確か今注目株の若手俳優が出ていると話題になっている映画だ。

詳しくは知らないが朝のニュースでちらっと見たような気がする。


その時はまだ彼のことを知らなかったし寝ぼけ眼だったので気付かなかったが、彼が出ているらしい。




「そ、そうなの…?」




半信半疑で絢子を見つめる。


しかし見て見てと絢子に指差されたところをよく見ると、出演者の欄には確かにあの人の名前があった。


【相沢総一郎】


その名前を見るだけで、思わずドキンと胸が高鳴る。

思い浮かぶその姿にボッと顔が熱くなる。