他にもテレビ画面に映っている人はいた。
よく知らないけれど最近イケメンと騒がれている若手俳優も出ていたみたいだし、他の顔触れも豪華だったと思う。
けれど彼らは決して私の世界には入ってこなかった。
ただ、そこに映っているだけ。
電車から見る流れる景色と同じ。
そんなときに視界に入ったのがあの人。
見た瞬間、ドクリと心臓が音をたてた。
彼だけだったのだ。
キラキラした世界を見せてくれたのは。
心地いい爪痕を私のなかに残してくれたのは。
好きだと思った。
何も知らないけれど。
それでもこの人が好きだと思った。
「…まぁ、真麻にしかわからない感覚があるからね。それに上手く引っ掛かったってことか」


