ブラックレター~高嶺の花に恋します~





宮部は最後まで読めない表情をしていたが。

…いや、あれは楽しんでいたのかもしれないけれど。


とにかくようやく二人の姿が消えて。

バタンと閉まったドアの音に盛大な溜め息を吐く。




「…ったく、相変わらず空気読むの下手な奴だな。そしてあいつは何なんだ」




一年経っても相変わらず変わらない自身のマネージャー。

そしてどうしようもなくうざったい同期に肩を落としながら、俺は近くにあった椅子に腰を下ろした。


そして思う。

神崎の方はもう暫らくあしらえそうだと。


だが宮部に関しては、もしかして何かに気付いているんじゃないかと嫌な予感を覚えている。

普段はおちゃらけているが、酷く勘の鋭い奴だ。