(また面倒なのが来た…!)
そう思ってしまった俺は決して悪くないだろう。
声の主は宮部敬吾。職業俳優。
こいつは俺の同期で同僚という昔から知っている奴である。
同じ事務所の所属なのでブラックレターの存在も知っている男。
役者としての実力は俺でも両手を上げるほどの才能の持ち主で。
その知名度は俺よりも高い。
だが、とにかく面倒な男なのだ。
ことにこのブラックレターに関しては。
どうしてこの男がここにいるのかと思ったが、そういえば同じ局のバラエティーに出ると神崎が言っていたのを思い出す。
その時は大して興味がなかったので気にしていなかったが、この手紙が届くならもっと注意しておくんだった。


