もし、もしも途切れることなく彼女からの手紙が届いたなら。
その時は必ず返事を書くと決めていた。
そしてそんな俺の願いは一度もぶれることなくその通りに決行されたのだ。
「悪いな、わざわざ届けてもらって。これは預かるよ」
そう言って俺はスーツの内ポケットに封筒をしまい込む。
黒い生地に紛れるようにして見えなくなるそれ。
ドキンと鼓動が触れる。
するとあからさまに不服顔の神崎が声をあげた。
「えー!?今読まないんすか!?だって初めてですよ、週に二回も手紙が届いたの!」
絶対何かありますよね、とでも言いたげにキラキラと輝いている神崎のまるで少年のような瞳。
未だ届き続けるブラックレターに彼の関心は尽きない。


