ブラックレター~高嶺の花に恋します~





小さく書かれた裏の住所も何一つ違いなくいつもと同じもの。




「…ブラックレター、だな…」




そう。ブラックレターだ。

間違いなく本物の。


そう小さく頷けば、目の前の神崎が嬉しそうに目を見開いて反応した。




「ですよね!?本物ですよね!?」




やっぱそうですよね!と俺よりも興奮している神崎に、あぁともう一度小さく頷く。




(…思ったより早かったな)




彼女からのものだとわかり最初に思ったのはそれだった。


一見いつもと何一つ変わらないが、きっとこれは返事なのだろう。

俺が送ったあの手紙の。


俺が彼女に手紙を送ったのは数日前のことだった。


正直、返事が来るのにはもっと時間がかかるかと思っていた。

最悪、週に一度の手紙も止まるだろうと。