ブラックレター~高嶺の花に恋します~





私が後悔することなると。


それに




「本人じゃないかもしれないけど…」


「けど?」




すっと息を肺に送って私は覚悟を決めたように吐き出した。




「書かなくちゃいけない気がする、から」




この手紙の差出人が本人にしろそうじゃないにしろ、待っている気がするのだ。

この問いの答えを。


何故そう思うのかはわからない。

でもきっと手紙を送ってきたということは、そういうことなのだろう。


しかも相手は"相沢総一郎"とまで名乗っている。

だから私は書かなくちゃいけない。

そう私の本能が言っていた。


だから書くよ、と真っ直ぐに絢子を見つめてそう言いきる。


すると絢子の瞳が珍しく揺らいだ。