ブラックレター~高嶺の花に恋します~





私がそんなことを思っている間、絢子は黙って私のことを見ていた。

そして暫くして、静かにその口を開く。




「…どうすんの真麻。返事書くの?」


「…書く」




震える体のまま、絢子の問いにそう一言だけ呟く私。

その返事に絢子が渋い顔をしたのがわかった。


絢子の表情に、ズキリと胸が痛んだが仕方ない。

彼女の表情の理由もわかる。




「相手が本人かわからないのに?」




そう。絢子の言う通りだ。


一年間の私の手紙の内容を知っていたからといって、それが本人だとは限らない。

本人以外が見ていた可能性もある。


まだ完全に悪戯じゃないと決まったわけじゃないのだから。


でも私の直感が言っている。

この手紙を決して無視してはいけないと。