ブラックレター~高嶺の花に恋します~





何度読み返しても変わることのないそれに、頭の奥が叫んだ。


これは、これは。


もしかして、本当に本物かもしれないと。

たった一文だが、それには私にそう思わせるだけのものがあった。


だってこの質問は、今までの私の手紙の内容を知っている質問だ。


誰にも知られるはずはない。

絢子でさえ知らない、私の手紙の内容を。


私は今までたった一言しか書いたことがなかった。

一年間、一度だってその言葉を変えたことはない。

変えられなかった、のほうが正しいのだけど。


だけどもしあの手紙に返事を書くとしたら。

きっと書く言葉はこれくらいしかないはずだから。


この送り主は、私の一年間の手紙の内容を間違いなく知っている。