ブラックレター~高嶺の花に恋します~





『君は僕のどんなところが好きですか?』




便箋の真ん中に書いてあったのはそれだけ。

たったその一文だけが書いてあった。



ドクンッ




(まさか、まさか)




だがその一言に心臓がこれでもかというほどに跳ねる。




「なにこれ。これだけ?」




覗き込んだ先にあったそれに、訝しげに顔をしかめる絢子。

確かにそれが普通の反応なのかもしれない。


便箋の真ん中にたった一言なんて。

普通に考えたらどう考えてもおかしい。

しかもこの問い掛け。

どうやったって悪戯にしか見えない。


だけど、私の反応は彼女とは違った。




(こ、れ…)




私は書かれていた文字に目を見開く。

カタカタと大きく震える手に止まる呼吸。

ドキドキと鳴り止まない動悸。

じわりと額に汗が滲む。