そもそも絢子以外に私がこの一年の間、あの封筒であの人に手紙を送っていることを知っている人などいないはずである。
私にはそれを話すような友人はそういないし、いたとしてもわざわざそんな話をしようとは思わない。
何を言われるかわかったもんじゃないから。
絢子だから話したんだもの。
家族にももちろん言ってない。
まぁほら…なにかと心配されるといけないし。
旭なんかバカにしそうだし。
だから、誰も知っているはずないのだ。
「ほら。たとえば…事務所であんたからの手紙を見つけた誰か、とか」
「…あぁ。なるほど」
事務所とか詳しいことはわからないが、確かにそういうことはあるのかもしれない。
何せ一年間も週に一回送っているのだ。


