ブラックレター~高嶺の花に恋します~





「なに、役柄が好きになったってこと?」




ようやくちゃんと話す姿勢になった私に、絢子が首をかしげて問いかけてくる。

片手にオレンジジュースを持って(お母さんが持ってきた)。


私はその問いにただ首を横に振った。




「ううん。役柄はよく知らない」




そうなのだ。

昨日の夜やっていたのは連ドラだったのだが、私はドラマでの彼の役柄をほとんど理解していない。

というかどんなドラマなのかすらよくわかっていない。

理由はただ一つ。




「あぁ。あんたテレビ見ないもんね」




そう。部屋にテレビを置いていないせいか、私は極端にテレビを見ないのだ。


リビングに行くということも少ないので、それこそ一日中見ていないこともある。