ブラックレター~高嶺の花に恋します~





「なにを?」




私の呟きに絢子は不思議そうな顔をして首をかしげた。


これを言ってもいいのだろうか。

これは本当に私の我儘なのだ。

はっきり言って迷惑でしかない我儘。


でもどうしても思ってしまうことだった。

思っても仕方ないことなのだが、たぶん私のコンプレックス故だろう。

これを思わずにはいられないのは。


絢子にこれを言ってもいいものか。


悩む私の隣で、絢子は興味深そうに早く早くと先を促す。

そのしつこさに観念して、私はぼそりと口を開いた。




「…相沢さんのことを好きな可愛い女の子たちを、見たくない」




そう。見たくないのだ。

自分よりも可愛い相沢さんを好きな女の子たちを。


絶対に泣きたくなるに決まってる。