ブラックレター~高嶺の花に恋します~





でも今、口にしてしまったその言葉。

心に留めておけなくなった想い。


私は自分でも気付かないうちに、少なからず進歩出来ていたのだろうか。


あの日から立ち止まったままだと思っていたけれど。

少しは動くことが出来ていたのだろうか。


もしそうなら、嬉しいと思う。


でもその進歩の裏にあるのは、私の彼に対する想いが想像以上に大きくなっているということだというのを忘れてはいけない。




「…うん。そうかも」




そう肯定の返事を返せば、絢子は満足そうに笑って頷いた。

そんな絢子に私も笑って頷く。


一年前のあの日より、今日のほうがあの人に惹かれてる。

今日よりも明日のほうが、きっとあの人のことを好きになる。


それは根拠のない確信。