ブラックレター~高嶺の花に恋します~





「会えるなんて、思ってないよ…?」




そう思って眉を寄せながら笑って絢子に答える。


しかしそんな私に彼女は、それでも!と嬉しそうに笑った。




「それでも、会いたいって素直に言えるようになったじゃん!進歩だよ進歩!」


「進、歩…?」




絢子の言葉に私は首をかしげる。


確かに絢子の言う通り、以前の私なら会いたいなんて絶対口に出来なかったかもしれない。

そんな現実味のない言葉、怖くて言えなかった。


まぁ初めて彼を見たとき"結婚したい"と言ったけど。あれはまた別だ。

そう思うくらい彼と言う存在が入ってきたという意味だから。


でも"会いたい"という言葉はもっとリアルで。


きっと一年前の私なら口に出来なかっただろう。