そんな私の小さな呟きは隣の絢子まで届いていたようで。
何故か一瞬動きの止まった絢子。
ぴたりとその場に立ち止まった彼女を不思議に思い私も足を止める。
彼女を見れば、目を見開いてこちらを凝視していて。
どうかしたのかと声をかけようとした次の瞬間、絢子は両手を上げて騒ぎだした。
「あーもー!マジ真麻、恋する乙女!絢子嬉しい!」
「ちょっ、なに、いきなり」
突然テンションの上がった彼女はそう言いながら勢いよく私に抱きついてくる。
その拍子に日傘が飛んで道端に落ちた。
突然のことに戸惑いながらも抱きついてくる絢子を無理矢理引き剥がそうとする私。
しかし何故かやたらと上機嫌の彼女はそう簡単には離れてくれない。
え、なに。本当にどうしたの。


