(嫉妬だってわかってるんだけどね…)
彼のドラマは見たいけれど、まだまだ私には恋愛シーンを見る勇気はない。
そんな余裕私にはない。
いやきっと、見たいと思う日なんて一生こない。
「なに。あんまり嬉しくなさそうだね」
「そ、んなこと…ないよ?」
絢子の問いに一瞬言葉が詰まる。
そうだ。彼が人気になって嬉しくないなんて、そんなことはない。
だってそれはいいことだから。
だからそんなことはない、けれど。
(…遠い、な…)
彼を見る機会が増えるのはとても嬉しい。
テレビ越しにでもその姿を見ることが出来るだけで一日幸せになれるから。
笑顔になることが出来るから。
だけど、この一年で感じることがそれだけじゃなくなってしまった。


