ブラックレター~高嶺の花に恋します~





慌ててキョロキョロと辺りを見渡せば、幸い周りに人はいない。




「あははー!照れてるー!真麻可愛いー!」


「絢子!」




そんな私を見てケラケラと楽しそうに笑う絢子。

怒った私の声すら届いていないだろう。


すべて知っていてからかうのだから、本当に質が悪い。

完全に遊ばれている。


絶対今の私の顔は真っ赤に違いない。


だってびっくりするほど顔が熱いもの。

そして絢子の顔がものすごくニヤニヤしているもの。




(ありえないってわかってても、照れる)




彼の隣に私が並ぶ日なんてこない。


そう頭ではわかっていても体と心は正直で。

全身を熱くして照れてしまうくらい、私は今もあの人に惚れてしまっている。


本当に好きなのだ。怖いくらい今もずっと。