約束の10時を過ぎても 棗は姿を現さなかった。 携帯はホントに解約されていて 連絡を取る術はない。 それでも独り 改札前のベンチで ひたすら彼を待ち続けた。 待っている間はいい。 まだ少しだけ夢を見られる。 騙されたと 思いたくはなかった。 陽が傾いてきても 夜が訪れても 独りでずっと待ち続けた。 こんなに長い間 誰かを待ったことは 初めてだし 多分二度と無い。 それでも待っている間は 幸せだった。 彼のことを想っていたから。