瞳の中の碧い海



「ナツ、どうしたの?
 どうして泣くの?」


知らないうちに涙が出ていた。
そんなことは初めてだった。


どう言えば彼女は
理解してくれるだろうか?



「ナツ、ごめんなさい。
  あおいのこと
   キライになった?」


「あおい、オレあおいのこと
 独り占めしたくなったんだ」


「えー?」


「あおいが他の男の子と
 仲良くしたらオレ嫌だな」


「そうなの?」


「うん、ずっとオレとだけ
   遊んで欲しいんだ」


「ずっと?」


「そう。毎日ずっと
 一緒にいたいんだけど
       嫌かな?」


「毎日あおいと
  一緒にいてくれるの?」


「うん。だからもう
 他の男の子と遊ばないって
   約束してくれるか?」


「わかった!約束するよ」



あおいは棗の前に
小さな小指を差し出した。


父親はあれだけ
愛人を抱えているのだから


自分にだって
一人くらいいても
別にいいだろう。



そんな軽い気持ちだった。