一人の女性が
東京都内で
男の子を出産した。


彼女は
生まれたばかりの子供に


まるで
用意してあったかのように
すぐ



『棗(なつめ)』
と名づけた。


なぜ彼女が
こんな名前を付けたのかは
今となっては分からない。




彼女は沢山いる
愛人のうちの1人だった。


生まれたばかりの棗を
父親は彼女から取り上げた。


彼の本妻は
子供を持つことが
出来なかったため


棗は跡取りとして望まれ
父親の元で
育てられることになる。




実の母親は
一生彼の前に
姿を現さないことを
約束させられ



棗の元を去った。