瞳の中の碧い海



「ホントだって。ずっとずっと
 大切にしてきたじゃないか。
 オレはおまえの
 父ちゃんとは違う。
 翼のこと
 裏切ったりしないから…」



健ちゃんが
強く腕を引いてきて


翼は胸に抱きしめられた。


いつかこんな日が来るような
気がしていたけど



嬉しくはなかった。



本当に
大切にされて
きたのだろうか?


大切にされるって
こういうこと?



心が不安の中に

落ちてゆくのを

感じていた。