瞳の中の碧い海



自分だっていちいち
彼女が出来たのを
報告してきたことなど
ないくせに。



「健ちゃんに
関係ないじゃない」


「なんだって!?」



腕を強く掴まれて、
ちょっと怖くなってきた。


「どうして怒ってるの?」


「そんなわけわかんない奴と
 付き合うなよ」


「健ちゃんだって
 彼女くらいいたじゃないの」


「翼は騙されやすいから
 心配なんだよ」


「…男の人は誰も
 信用してないから大丈夫」


「オレも?」



申し訳ないと思いながらも
翼は黙って頷いた。



「オレはずっと…
  翼が好きだよ」



翼はまた黙って
目を逸らした。