瞳の中の碧い海



「廣田さん、二階堂と
 付き合っているわけじゃ
 ないんだよね?」



クラスメイトの橋本君が
そう翼に話しかけてきた。


翼は
ちょっとだけまたか、と
思いながら



「うん、幼なじみだよ」

と答える。


その後思いもよらないことを
言われてしまった。



「じゃあ、今日はオレと
   一緒に帰らない?」



健ちゃん以外の男の子に
誘われるのは初めてだった。



橋本君は
穏やかで優しい感じの人。


彼との帰り道は
意外と楽しくて


翼の地元の琴似駅前の
ファーストフード店で
お喋りをしてから
家まで送ってもらった。



家の前でまた立ち話をして


「また一緒に
 帰ってくれるかな?」と

橋本君は
照れくさそうに言った。



翼はそれに快く応じた。