逃げて行く先は
ひとつしかない。
港の見渡せる
あのマンションしか。
またドアが開くと同時に
棗にしがみつく。
「どうして
いつもこうなの??」
さすがに3度目なので
彼も首をかしげている。
でも
なんて言っていいか
分からずに
さらに強く
しがみつくことしか
出来なかった。
「もー、翼も好きだねぇ?
これじゃあオレの体の方が
持ちませんよ?」
棗がヘラヘラ
笑って言う。
「そんなことしに
来たんじゃないよ!」
「え?
ヤリに来たんじゃないの?」
「違うよ…」
「じゃ、何しに来たの」
その冷たい言葉に
悲しみと寂しさが
体中に拡がっていく。

