瞳の中の碧い海




「早坂!」


健ちゃんの呼び止める声に
棗は平然とした顔で振り返る。


「早坂…なんで翼なんだ?
 おまえなら他に
 いくらでもいるだろ?
 頼むから翼だけは
 やめてくれよ…
 翼は…
 大切な幼なじみなんだ…」



健ちゃんの悲しげな懇願に
棗は表情ひとつ変えずに
こう言い放った。



「おまえはちっとも幼なじみを
 大切になんかしてないよ?
 
 この子を圧迫して
 追い詰めているだけだろ。
 
 おまえが逃げ場を無くすから
 オレみたいなのに
 引っかかっちゃうんだよ?
 
 全部おまえのせいだ」



目を丸くして言葉を失う
健ちゃんをかまわずに

また歩き出そうとする。



「あ、それから」