棗はインパクトの瞬間に対して
ヒュウと口笛をひとつ吹いた。
私のそばに来て
肩を抱いて
頭を胸に押し当てた。
そして
「翼、大丈夫か?」
聞いたこともないような
優しい甘い声を出した。
「早坂ぁ…てめぇ…」
健ちゃんがさらに
怒りを増した顔で
棗をにらむ。
棗はそんな状況でも
腹の立つくらい
余裕の表情で
さらっとこう言った。
「あのさぁ、人の女に
手を上げないでくれる?」
「おまえ、
どういうつもりだよ!?」
「どうもこうもねぇよ?
オレの女に手ェ出すなって
言ってんの」
「いつ翼がおまえの女に
なったんだよ!?」
「いつだっていいじゃん。
とにかくこの子は
オレがもらったから」

