第1話「入会資格」



ぼくが「さびしがりやクラブ」会員番号23番、

松本一夫、中3、男子。


ぼくがこのクラブに入会したのは昨日だ。

たまたまネットサーフィンしてたら

この変なブログを見つけた。


ブログ記事はファン限定しか読めない。

好奇心でファンになってみたけど

記事も写真もあんまりない。

なんだこれって感じ。

なんか胡散臭い。


暇だったし

興味本位でそこに

【入会したいです】って

書き込みをしたら、すぐに返事が来た。



こう書いてあった。



【今からあなたを審査します。

あなたがどれくらいさびしがりやなのか、

教えなさい。】


いきなり上から目線・・

しかもぼくを審査って・・


ちょっと気味が悪いと思ったけど

どうせブログだし・・と思って

軽い気持ちで打ち返してみた。


【ぼくは友達がいません。

中学1年で福岡に引っ越してきたけど

だれも近づいてこないから、いつもひとりぼっち。

みんなが教室で楽しそうにワイワイしてる中で

ぼくはずっと石のように机の前で固まってた。


ある日、その空気に耐え切れなくなって

校門の外に出た。


フシギな開放感があって

ぼくは自由なんだって思った。


そして

そのまま教室には戻らなかった。

それ以来、学校には行ってない。】


送信。


ちょっと長くなったかな・・



すぐに返事が来た。


【あなたの夢はなんですか?】

とだけ書いてあった。




特にないけど・・


【小さな夢で恥ずかしいんですけど・・

大人が行ってる「スターバックスコーヒー」?

あそこに行ってみたい。

コーヒー好きだけど・・

なんかあーゆー華やかな場所

(ぼくにとってだけど)には

一人では入れなくって・・


すみません・・くだらない夢で】



送信。




すぐ返信が来た。


【あなたの入会を認めます。

明日の晩、歓迎会をしますので

今泉のコンビニに12時に来なさい】



その返事を見て、

胸がドキドキしはじめた。



気味悪いと思った。


今泉ならそんなに遠くない・・


でも絶対行かない。、

てか、行くわけないじゃん。


でも、「歓迎会」なんてされたことない。


何をするんだろう・・・?


不安と期待がシーソーに乗ってる。

正直、気持ちがグラついた。