キスなんかじゃ目覚めない


「‥‥お前、ほんとに意味わかんねーな」

「褒め言葉として受け取っておくわ」

「ハッ、今日だけだかんな」

「ありがと」

鼻で笑われたのは気に食わないが、言葉の通り彼がパーカーを脱いでズボンをあげてくれたのを見届け、新しい遅刻用紙を手渡すと今度は素直に受け取ってくれた。見た目と素行に寄らず、案外素直で良い奴なのかもしれない。なんて思う私は現金な人間だと自分でも思う。

「お前も遅刻だろ、委員長。一緒に職員室デートしよーぜ」

「私はあなたの為にここにいたので遅刻じゃありません。先生にも認められてるの」

「ずる」

「人聞き悪いわね」

突然馴れ馴れしく話し始めたのは懐かれたからではないと思いたい。とりあえず昇降口までと隣を歩く道中、倉敷くんがひたすら話しかけてきたのは正直鬱陶しかったけれどそれは内緒だ。