キスなんかじゃ目覚めない


「君、シャツのボタンは一番上までしっかりとめて!」

「うーい」

「あなた、化粧してる?別にするなとは言わないけどバレない程度にね。今日は黙っておくけど明日はちゃんとしてきて」

「委員長だいすきー!」

「どうも。あなたは髪長いんだから、切るか結ぶかしてね」

「はーい」

テキパキと校門をくぐる生徒を見てはチェックをしていく。あんまり問題のある人は名前を書いて生活指導室行きだ。けれど、そこまですると私的にも面倒な過程を踏まなければならないので基本は口頭で終わらせる。

んだけど。

1年の頃から私の頭を悩ませてくれる同じクラスの問題児くんが登校してくるのが見えて、思わずこめかみに手を当てていた。
赤黄緑と信号機カラーのピアス。学ランの下には勿論禁止されているパーカー。制服と一緒に購入したはずのベルトはどこへやら、ゴツいベルトは役目を果たさずゆるゆるで下着が見えるんじゃないかと冷や冷やするズボン。そして何より、目立つオレンジ色の髪の毛。
プリントに目をやった時の何十倍も深いため息の音は、チャイムの音にかき消された。