「優子ちゃんには分かんないよ!
私にとって浩多がどれだけの救いだったか、なんて。」

優子ちゃんは、この間話をした男の子が浩多だということを知らない。

…だから、そんなことが言えるんだよ…



「…っ、分からないわよ。
美紀が話してくれない限り!
私には、美紀が何か隠してるなんて気付いてるんだよっ!
ほんとは、全部聞きたかった。受け止めてあげたかった。
だけど、隠してる事に理由があるなら、美紀が話してくれるまで待ってようって。
そう思ってたのに…
なに?私には分からないって
わかるわけないじゃない、エスパーじゃないんだから。
話してくれないのに、分かるわけないでしょ?
分かれって言うほうが無茶でしょ!」

そう言った優子ちゃんは、ハァハァと肩で呼吸をしている。
そして…

「大丈夫?」そんな言葉を掛ける隙さえ与えず、優子ちゃんは走っていった。


「…こんなことしたかったんじゃないのに」

そう呟いた私の声は、町の雑音で消えていった…ー