自動販売機でお茶を買い、再び屋上へと向った。
扉を開けると、がやがやと数人の声が聞こえて来た。
しかし、誰もいない。
と言うことは………
俺は南側へ向った。
すると、見覚えのある人物が二人いた。
「高弘、悠太。何してるの?」
二人が振り返る。
彼女が俯かせていた顔を上げ、俺を見た。
その目は、必死に涙を堪えていた。
それを見た瞬間、二人にほんの少し怒りを覚えた。
「怖がらせるなよなぁっ」
彼女の隣に座る。
彼女は震える手を押さえている。
「怯えてる。二人のせいだよ」
「あ。もしかして、俊の彼女?」
高弘が言った言葉に、ドキッとした。
高弘は、品様定めをするように、彼女をジロジロと見た。
彼女は気まずそうに、再び顔を伏せた。
そんな高弘に、思わずため息が漏れた。
「そんなに見ないで。彼女じゃ、ないし…」
そういいながら、そうだったらいいな、
なんて、少し思ってしまった。
「へーぇ。俊ちゃんかーわいっ」
悠太がにこにこ笑う。

