可愛い弟くん


ある日の昼休み、この日もいつも通り屋上に来た。

早く彼女の顔を見たくて、階段を駆け上った。

ガチャリ。

眼前に広がった空は、今日も綺麗な青い色をしていた。

一見、誰もいないように見える屋上。

しかし、いつものところに、彼女はいるはずだ。

そっと覗くと、小さな姿がそこにあった。

まだ広げていないお弁当を自分の前に置き、今日も彼女は空を見ている。

「瑠璃」

俺を見ると彼女は、優しい笑顔を浮かべる。

「また来たー」

ドキッと胸が高鳴った。

まただ。

俺はこの笑顔にとても弱い。