可愛い弟くん


俺は、彼女が怖がらないか様子を見ながら、隣にそっと腰を下ろした。

そこで、全く手をつけていない弁当が目に入った。

「美味しそう。食べないの?」

「あの、…あまりお腹すいてないんです…」

俺の制服についている校章には、一年生の印である赤い色がしっかりと刻まれているのに、なぜか敬語を使う彼女。

思わず笑ってしまった。

「俺、一年。敬語じゃなくていいよ」

「…うん」

少し嬉しそうに笑った顔を見て、
胸がキュンと苦しくなった。

やっと、笑顔が見れた……。

「…俊、よかったら食べる?」

少し戸惑いがちに差し出されたピンクの弁当箱。

一瞬意味がわからず、彼女の顔を見た。

それから、彼女のカバンの中から覗くパンを見た。

昼ごはんはお弁当だけではなさそうだ。

「いるっ!」

彼女に似合う、可愛らしいお弁当。

それを見ると、頬が緩む。

彼女はにっこりと笑って、自分のカバンからパンを取り出して、袋を開けた。