「…え、えと…」

緊張しているのだろうか。

震える肩と声が怖がっている。

俺は、怖がらせないように、笑いかけた。

「怖いがらないでよ。一人?」

「え、あ、はい…」

「俺、長谷川 俊」

「あ、哀川 瑠璃…です」

彼女はずっと俯いたままだ。

「瑠璃」

顔、見てみたい。

とは、恥ずかしくて言えなかった。

しかし、彼女はゆるゆると顔を上げ、
俺を見てくれた。

色白で、大きな瞳と長いまつげがとても可愛いらしかった。

その瞳には、しっかりと俺が写っていたことを、すごく嬉しく思った。

「やっと俺を見てくれた」