卒業式がはじまりの日





「なな、走るな。危ないだろ?」



「大丈夫だもん、転ばなかったし!」



心配して怒っている翔先輩。



朝から勘弁しろよなと溜め息を吐きながら呟いた。



「じゃあ行くぞ。学校まで連れてくから」



「やったあ!ありがとう!」



わたしは先輩に掴まれた手をぎゅっと握り返した。





一度は失恋したと思った恋。



だけど、それは先輩がわたしの進路を思ってしてくれたこと。



あの時、付き合えなくてくじけずに勉強を頑張ったから



今こうして翔先輩と一緒にいられるんだ。



さあ、桜が満開で祝福してくれてるような天気の良い今日……



わたしたちの本当の恋がはじまる。






Fin*.