隆太と付き合ってから、もうすぐ一年だった。



『結衣だけを愛してる』
『俺には結衣しかいない』



会うたびに言ってくれた隆太の顔が、今でも焼きついて離れない。
未練とかじゃなくて。
よくも、私を騙してくれたと。



あの言葉がすべて嘘だったと思うと、悔しすぎる。惨めすぎる。



「所詮は、そこまでの男だったんだよ。もう考えるのはやめて、今日は飲もう飲もう」



ワインボトルを手に取って、麻美さんがにこりと笑う。



愚痴を吐き出すことに気を取られ、私のグラスはテーブルに放置したまま。なみなみとワインを注いでくれる麻美さんの左手の薬指に、シルバーのリングが輝いている。



麻美さんは職場の先輩、私より三つ年上の三十一歳。昨年結婚したばかり。
今日は私の失恋を癒してくれると、職場から近い行きつけの居酒屋さんに連れてきてくれた。



うんうんと何度も頷く麻美さんの頬が赤く染まっているのは、私と同じペースでお酒を飲んだから。お酒に弱いのに、無理して私に合わせてくれている。