喫茶店は今日も満席だった。ハニートーストの甘い匂いと珈琲の香ばしい匂いが漂う。 「山吹」 帰り際、藤野先輩に呼び止められた。 「……?」 「これ、家で食べてよ」 藤野先輩の手の中には、余ったクッキーの入った可愛らしい袋があった。 「弟さん……だっけ?」 「ああ、いとこです」 「そっか、余り物で悪いんだけど、よかったらみんなで食べてよ。んじゃ、また明日」 「え……あ……」 お礼を言う間もなく、藤野先輩は喫茶店の奥へと戻って行った。