「帰んのかよ、何だよ急に」 朝、荷物をまとめている私に向かって浅黄がぶつぶつ言ってくる。 「電車、何時? ちょっと時刻表見て」 「自分で見ろよ」 そう言って浅黄は持っていた枕を私に投げつけた。 「じゃ、レポートせいぜい頑張ってねー」 「もう終わってらぁ、バーカ」 そうだ。帰ったら親に言えばいいんだ。 そうすれば、もしかすると部屋の引っ越しが実現するかもしれない。 ――そうすれば、浅黄のいない自由気ままなひとり暮らしがもう一度手に入るかもしれない。