「ーー…のさ」
目覚めは、小さな囁き声だった。
ふと拾った声に耳を澄ませると、その発生源は真後ろの女子二人のようだ。
こそこそと、だが少し上ずった声でやり取りがなされるのが聞こえてきた。
「次、新入生代表の言葉だよね?」
「え、じゃあもしかして…」
「「唐沢くんっ!?」」
(…おーおー、やけにテンションの高いひそひそ話だな)
私は小さく溜息をついて、彼女たちに向けていた意識を前に移した。
(唐沢…一位の奴か。一体どんな…)
『ーー…それでは、新入生代表、唐沢 羽玖』
ステージ上を睨むようにして見つめる私の視界の端に、奴は現れた。
ーー途端、あちこちで溢れるざわめき。
主に、女子からの。
(あれが…唐沢 羽玖)
ゆっくりと壇上を歩いて行く彼は、一言で言えば『優雅』そのものだった。
歩くたびに揺れる黄金の髪に、スラッとした体型と長身の体。
立ち止まって正面に向けた顔は、端正に整った甘いマスク。
その翡翠の色をした瞳は、こちらを見て笑った気がした。
