「………こっち向けよ」
「やだ」
やだ、恥ずかしすぎる。
心臓がうるさい。
翔太に聞こえるんじゃないかとゆう
くらいにうるさい。
「早く落ちろよ。俺に」
「落ちないって、翔太なんか」
好きに、なるはずないし。
『どうせ、ゲームだろ?』
不意に思い出したその言葉。
『翔太の気持ちも考えてあげて』
俊哉くんの言葉。
あたしは、唇を噛み締めた。
「もし、もしさ
あたしが翔太を好きになったら
翔太はどうするの…?」
上を見上げる。
少しびっくりしている翔太の目と合った。
「…………」
沈黙がはしる。
沈黙をやぶったのは翔太だ。
「別に、なんもないよ」
目をそらして翔太は言った。
それが
翔太の気持ちだった。

