「さいっっっあく!」
休み時間になったとき、翔太は
やっと自分の種目を理解した。
「寝てたあんたが悪いんじゃん」
「はぁ?意味わかんねぇ。変えろ夏帆」
「ぜっっったいヤダ!自業自得!
すきな人でもなんでも借りてきなよ!」
とっさに出た言葉。
なぜかあたしは、はっと思い、
自分の口を手でおおった。
「……ふーん。じゃ、俺、夏帆借りてこ」
「……………はい?!」
ちょ、え?!
「いいだろ?おとすのにぴったしだし」
軽く翔太はそう言った。
のどの奥がつんっとした。
「…か、簡単に言わないでよ。
おとすなんてさ!」
「簡単だから言ってんの。
どうせゲームだし。」
「………あたし、ジュース買ってくる」
あたしは、その場にいられなくなり、
椅子から立ち上がり、教室を出た。
「素直になれば楽なのに……」
「うるせ」
春香と翔太がそんなこと言ってることは、
あたしが知ることは、なかった。

