「ちょ、翔太!離して!離せや!」
ぐいぐいひっぱるあいつの腕。
俺が本気で折ろうとしたら折れそうな腕。
……細せぇな。
「っ。ねぇ!離せバカ…!」
俺が連れてきたのは、空き教室。
誰も入らない場所。
『___ドンッ‼︎』
「痛ったぁ…何すん………」
俺は、夏帆を壁にくっつけさせ
上からおおいかぶさった。
こいつ、背がちっさいから
俺の真下にこいつの顔がくる。
「……っ離せバカ」
「やだ」
「やだねじゃないわ!小学生か!
いい加減離してよ!」
「だって、夏帆、逃げるじゃん」
「逃げるよ!そりゃね!」
「いや、つっこんでる場合?」
「え………?」
「今の自分の状況、わかってんの?」
上を見上げている夏帆は、
俺の一言で、下を向いた。
多分、赤くなってる。
夏帆は、髪の毛をいじる。
それは照れたときの癖。
「………」
「なぁ、顔上げろよ」
「なんで?やだよ」
「見せろよ」
俺は、ぐいっとこいつのあごを
持ち上げた。
「やっ………だ…」
ほらな。
「顔真っ赤だな」

